甘酒・塩麹をもっと知る
甘酒とは?古くは古墳時代よりその存在が知られる日本の伝統的な甘味飲料です。 見た目や材料が濁酒に酷似しているため酒類と勘違いされがちですが、アルコールは殆ど含まず酒類にも属しません。 一方、酒粕を使用したアルコール含有の甘酒も存在しますが、これは本来の甘酒ではなく、白米あるいは粳米を粥状に炊き、そこに甘酒麹を加えて発酵させるのが一般的な製法です。 甘酒にはビタミンB1・B2・B6、葉酸、食物繊維、オリゴ糖、各種アミノ酸、ブドウ糖などが含まれ、栄養剤としての点滴の内容成分とほぼ同じため 「飲む点滴」 と称されます。 温めて飲むイメージの強い甘酒ですが、特に関西地方では夏バテ予防に冷やして飲む習慣があり、俳句でも甘酒は夏の季語として指定されています。 近年は成人病予防などの効果で注目され、スーパーでも種類豊富に陳列されるようになりました。 子供から大人まで美味しく飲める甘酒は、古来より日本の健康を支えてきた凄い飲み物なのです。 |
甘酒麹とは?甘酒麹や味噌麹などに厳密な区別はありませんが、糖化力が特に強い麹を総称して甘酒麹と呼びます。 甘酒麹に用いる麹菌は他のものに比べ、発酵過程におけるアミラーゼ系酵素の分泌効率が良いのが特徴です。 この酵素により米のデンプン質がブドウ糖へと分解 (糖化) され、甘味へと変化します。 甘酒麹は55℃~60℃において最も糖化力を発揮し、これ以下だと乳酸菌などによる酸味が発生するリスクがあり、以上だと麹菌そのものがダメージを受けてしまいます。 温度管理が甘酒造りの難所でしたが、近年は炊飯器の保温機能を使用することで、ご家庭でも簡単に美味しく造ることができるようになりました。 ただし、甘酒専用として市販されている麹は少なく、味噌・漬物兼用などを主眼とした麹が殆どです。 これらの市販品でも甘酒は造れますが、糖化力が弱いため思ったように甘くならないことが多々あります。 せっかく造るのですから、失敗のない甘酒麹をご利用下さい。 |
塩麹とは?塩麹とは、麹に塩と水を混ぜて発酵・熟成させた日本の伝統的な調味料で、野菜や魚の漬物床として古くより利用されてきました。 しかし、甘酒などの麹製品に比べるとその知名度は低く、広くは知られていませんでした。 ところが2011年後半から2012年前半頃にかけて、様々な利用法でメディアや雑誌を中心に紹介され、爆発的人気を博すことに。 製法がとても簡単な点も人気を後押しし、一時は市場から麹が姿を消すという社会現象にまでなりました。 塩麹は材料が麹・塩・水だけというシンプルな発酵食品ですが、その秘めたる実力には驚くものがあります。 熟成過程で生成される甘味、旨味だけではなく、生きた麹菌・酵母パワーが凝縮され、料理を新たな次元へとステップアップさせてくれます。 あれこれ難しい味付けに悩むことなく、プロ顔負けの味わいを表現することができます。 これだけシンプルな天然調味料で、これほど有用なものは他に例を見ません。 |
塩麹のチカラ塩麹は熟成過程において、麹自体の成分 (デンプンやタンパク質など) がブドウ糖やアミノ酸へと加水分解されていきます。 これが塩麹の甘味と旨味になります。 更に生きた麹菌・酵母が分泌する様々な酵素が、肉質を柔らかくしたり、旨みを引き出したり、クセをまろやかにしたりなど、食材そのものにも多様な変化を与えます。 もちろんこれらの酵素には、毎日の健康に有用なものが数多く含まれ、食卓を気遣う方々には嬉しい存在です。 このように、ただ単に味や旨味を付加する化学調味料とは違い、様々な嬉しい相乗効果を期待できるのが塩麹の大きな魅力です。 最近では甘酒造りと同様、炊飯器の保温機能を利用して熟成させる 「うま塩麹」 や、塩の代わりに醤油を使用する 「醤油麹」 というものも注目を集めています。 スタンダードな塩麹とは味わいも性格も異なりますが、どのような形であれ、麹の魅力が再認識され活躍する姿に、先人たちが残した麹文化の偉大さを感じずにはいられません。 |
自家製の魅力自家製甘酒や塩麹の魅力は何といっても 「酵母が生きている」 ことです。 実のところ市販で販売されている甘酒や塩麹、特に密閉容器に封入されているものには、発酵を抑えるために加熱処理をして酵母を殺菌、またはアルコール (酒精) を添加して酵母の活動を抑制しているものが数多く存在します。 これは、発酵時に発生するガスによる容器の膨張・破損を防ぎ、発酵による品質の変化を避けるための処置で、スーパーなどで陳列・販売するには避けては通れません。 もちろん、そのものの味わいには影響しませんが、酵母がもたらす様々な相乗効果や健康パワーは残念ながら期待できません。 また 「無添加」 と記載のある場合でも、同様の処置が施されることが通例です。 甘酒や塩麹、その他麹食品の魅力を100%堪能したいのなら、少々手間がかかっても自家製にこだわることを強くお薦めいたします。 既製品を買うより予算をかなり抑えられるというポイントも見逃せません。 |
材料へのこだわり甘酒や塩麹をはじめとする殆どの麹食品は、シンプルな造りだけに麹が主役となります。 ですから麹の良し悪しがとても重要な要素になるので、できるだけ良質の麹をご利用いただければと思います。 味噌や甘酒などが美味しいと定評のある蔵元には良質の麹が必ずございますので、街中やネットでの評判・口コミを参照しながら、お気に召す麹を探してみて下さい。 更にこだわるなら他の材料にも着目してみて下さい。 特に塩を使う塩麹や味噌などは、塩の選択によるダイレクトな変化を期待できます。 塩に含まれる味わい成分 (ミネラル) は発酵による分解が起こらないため、塩の味わいがそのまま表面に出てきます。 こちらも色々とお試しいただければと思います。 最後に、せっかくの自家製なのですから楽しむことを忘れないで下さい。 そして、満足のいくまで我が子のように育て上げてみて下さい。 手をかけた分だけ、感動すら覚える美味しさとなって答えてくれるはずです。 |